2019 3月29日 アニエスヴァルダの訃報を友人のともちゃんが知らせてくれた。彼女の仕事は常に私のお手本だった。羅針盤のように行くべき方向を教えてくれる作品を撮り続けている人だった。90歳。ようやくジャックドゥミのもとへ。天国で再会していることだろう。彼不在の今世は長かっただろうか。いやもっとやりたい仕事があったかもしれない。つい最近彼女の最後の作品をみた。visage village 顔たちところどころ。彼女が普通に暮らす市井の人々に向けるまなざしにいつも感銘をうける。心通うまで時間をかけて何度でも足を運ぶ。そうしてその人の顔が表す彼女・彼らの人生を切り取っていくのだ。落穂拾いではマルシェの後1時45分頃から群がる市場の後のごみを漁る人々に彼女はある日カフェにて気が付いた。そこからこの映画は始まっている。いつも自分の目線をあやまることなく普通に生きている人々に向けていく。彼女はフィクションも沢山撮影しているがその中にさえ、ドキュメンタリー要素をちりばめている、というかそうしたいという意図が感じられる。フォトグラファーから出発した彼女の映像作品には常にカメラマンとしての視点も強く感じられる。5 a 7 de cleo 5時から7時までのクレオ を先日観た。若かりし頃何度もビデオでみた映画だ。なかなか上映されないのだ。ザジフィルムさん アップリンクさんありがとう。再上映感謝します。アニエスを愛してやまなかった人たちの行動の素早さに感謝。最近古いパンフを引っ張り出してきたり、彼女のインタビューをよく見ています。彼女がこの世からいなくなった心の穴を埋めるかのように。映像の中で彼女は繊細にそして雄弁にユーモアをもってこれでもかと語ってくれています。それを見ながらこの人に出会えてよかったなと 心から思うのです。