ayacollette

アランフェスの旅

アランフェス協奏曲、思い出したように聴き始めたらはまってしまった。数週間、家事の合間を縫っては いろんな人のバージョンを聴き比べている。ギタリストによって随分と印象が違う。あたりまえだが ギタリストが捉えている曲のイメージが一人一人かなり違うからそうなるんだろうけど、「あなたはここをこう弾くのね、それは私の好みじゃないな」とか 「あのもったいぶった弾き方は好きじゃない」とか「テクニックはすごいけど、なんか威圧的で疲れる」とか 好き嫌いでついつい聞いてしまうので それはなるべく、なるべく排除して(これが大人になってもなかなかむつかしい!) 一人一人のギタリストが頭で描いてるアランフェスを想像しながら聴くのが一番いい。あなたのことはよく知らないけど あなたのアランフェスには会ったことがある。みたいな。顔が一人一人違うようにそれぞれのアランフェス。ギタリストの性格がすごくあらわれるから面白い。有名なテーマのところもいいけど 一番好きなのは曲の始まり方。何かが起こりそうな予感。チェロがメロディを一瞬奏でたと思うとギターの細かいパッセージがさざ波のように押し寄せる。曲全体を一人のギタリストがどんなふうにキャンバスに描いて行くのかアランフェスの中を一緒に旅する。