ayacollette

音楽の聞こえる絵

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目黒の庭園美術館に有元利夫展を観に行く

落ち着いた明治時代の建築(フランス人ラパン氏による設計)
入り口にはラリックの壁画彫刻が鎮座し訪問客をお出迎えする

落ち着いた庭があり芝が手入れされ
近所なら毎日散歩したくなる空間

入り口のカフェでランチ
マダム達で大賑わいの店内

有元さんの作品は過去に何度か足を運んでいる

ステーションギャラリーのときも
場所と作品が見事に相まって
印象的な個展だったが
庭園美術館も彼の作風にとても合っていて心地よい

小さないくつかに分かれた小部屋に
所狭しと展開された彼の作品に
すぅ・・・っと
時間が吸い込まれていく

じっくりと浸りたかったが
チビが

「あー」「おーっ」

訳のわからない奇声を上げ始め
「しー」「しーっ」

なだめるとよけいに騒ぎ出す

館内の監視員が

「授乳室 必要ですか? 必要ですね?」

いえ、結構ですとは言いにくい雰囲気で
問いただしてくる

おまえの息子がうるさいから
とっとと授乳室へ行っとくれっ!

と こちらには聞こえたので

しぶしぶ授乳室へ

連れの友人も1歳の息子を連れて
ディレクター室へ案内される

小さな事務室なのに ここにも
建築家の美学がそこここに感じられる室内
窓といい 天上といい 壁といい
空間を味わうとはこういうことを言うのだ

授乳を終えたら
少し眠ってくれたので
ようやく鑑賞

時(とき)をキャンバスに描きこみたかった作家

まだ没後25年なのに
絵の肌さわりは古い壁画のよう
何百年も時を越えたイコンのように存在する

有元さんは知人のおじさんの同級生だった

おじさんとは幼馴染で仲のいい遊び友達だったのに
中学にあがるころ あまり遊んでくれなくなったんだそうだ

急に画家になる と言い出し
猛烈に絵を目指し始めたという

38歳にして逝去

2歳の幼い息子さんを残して心残りがあっただろう

けれど彼の作品は永遠に時を刻み続けていて
終わることなく 多くの人を魅了し続け 
それだけが救いに思われる
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